コラム column

亜鉛合金と真鍮の違いとは?成分・加工法・用途から失敗しない材料選定を解説

亜鉛合金 真鍮 違いが分からない」「見た目が似ているが同じ用途で使えるのか」――こうした疑問は、設計・調達・加工の現場で頻繁に発生します。
両者は外観が似ている一方で、材料特性・製造方法・適した用途は大きく異なります。
本記事では、亜鉛合金と真鍮の違いを体系的に整理し、実務で失敗しない材料選定の判断軸を明確にします。

亜鉛合金と真鍮の基本的な違い

亜鉛合金とはどのような材料か

亜鉛合金は亜鉛を主成分とし、アルミニウムやマグネシウムなどを添加した合金です。
最大の特徴は、低融点で流動性が高く、ダイカスト成形に非常に適している点にあります。
複雑形状を高精度・大量生産できるため、精密筐体や自動車部品、電子機器部品に多用されます。

真鍮とはどのような材料か

真鍮は銅を主成分に亜鉛を添加した銅合金で、黄銅とも呼ばれます。
切削加工性に優れ、強度と耐摩耗性のバランスが良いため、機械加工部品で広く使われています。
真鍮の材質体系については
真鍮の材質分類に関して解説で詳しく解説しています。

一言で整理すると

亜鉛合金は「鋳造して形を作る材料」、真鍮は「削って精度を出す材料」と整理すると理解しやすくなります。

項目 亜鉛合金 真鍮
主成分 亜鉛 銅+亜鉛
主な製法 ダイカスト 切削・塑性加工
加工精度 鋳造精度が高い 切削で高精度
強度 中程度 中〜高

成分と物性の違い

亜鉛合金の成分特性

亜鉛合金は融点が約400℃と低く、溶融時の流動性が高いため、薄肉・複雑形状でも成形が可能です。
一方で耐熱性は低く、高温環境では強度低下や変形が起こりやすい点に注意が必要です。

真鍮の成分特性

真鍮は銅の比率が高くなるほど延性と耐食性が向上し、亜鉛量が増えるほど強度と被削性が向上します。
この成分調整によって、多様な用途に対応できるのが強みです。

強度・耐久性・精度の違い

機械的強度の比較

一般的に、引張強度は真鍮の方が高く、長期荷重や摩耗が発生する部品に向いています。
亜鉛合金は衝撃には比較的強いものの、繰り返し応力には注意が必要です。

寸法精度と安定性

亜鉛合金はダイカストにより鋳造段階で高い寸法再現性を得られます。
一方、真鍮は切削加工によって最終精度を出すため、少量多品種や公差管理が厳しい部品に適しています。

加工性と製造コストの違い

亜鉛合金の加工特性

金型費はかかるものの、量産時の単価は非常に低く抑えられます。
そのため、数千〜数万個単位の生産では大きなコストメリットがあります。

真鍮の加工特性

真鍮は切削性が良く、工具寿命も長いため、試作や中量生産に向いています。
金型が不要な分、初期コストを抑えやすいのが特徴です。

用途別に見る使い分け

亜鉛合金が適する用途

  • 電子機器筐体
  • 自動車内装部品
  • 精密ダイカスト部品

真鍮が適する用途

  • 機械加工部品
  • バルブ・継手
  • 摺動部品

規格と信頼性の観点

亜鉛合金・真鍮はいずれもJIS規格で成分や機械特性が定義されています。
材質確認の際は規格番号と材質記号の確認が重要です。

よくある質問

亜鉛合金と真鍮は見た目が似ていますが、実際には何が一番違うのですか?
最大の違いは材料の成り立ちと製造方法です。亜鉛合金は亜鉛を主成分とした合金で、溶かして金型に流し込むダイカスト成形に適しています。一方、真鍮は銅を主成分とした合金で、切削加工によって精度を出す材料です。この違いが強度、精度、コスト構造に大きく影響します。
強度や耐久性を重視する場合は、どちらを選ぶべきですか?
一般的には真鍮の方が引張強度や耐摩耗性に優れています。長期間荷重がかかる部品や、摺動や摩耗が発生する用途では真鍮が適しています。亜鉛合金は衝撃には比較的強いものの、高温環境や繰り返し応力には注意が必要です。
コストを抑えたい場合、亜鉛合金と真鍮ではどちらが有利ですか?
生産数量によって有利な材料は変わります。大量生産の場合は、金型を使ったダイカスト成形が可能な亜鉛合金の方が、1個あたりのコストを大きく下げられます。一方、少量生産や試作では金型が不要な真鍮の切削加工の方が、初期コストを抑えやすい傾向があります。

まとめ|亜鉛合金と真鍮の違いを理解すれば材料選定は失敗しない

亜鉛合金 真鍮 違いは、成分だけでなく製造方法・精度・コスト構造にまで及びます。
量産・複雑形状なら亜鉛合金、強度・加工精度重視なら真鍮という基本原則を押さえることで、
設計・調達・加工すべての工程で失敗を防ぐことができます。